自分の学びに自分で責任を持つということ
私は、授業での究極のゴールは、生涯学習者を育てることだと思っています。
なので、学校という場は、目先のテストで満点とることよりも、
自分の学習スタイルを知って、
どのような環境でどう勉強すると、
自分にとって一番吸収しやすいのかっていうことを、
試行錯誤する場所だと思います。
もちろんテストで満点を取ることも本人には自信になるのですが、
テストのために勉強すると、テストが終わったら勉強も終わりということになってしまいます。
でも、勉強とは本来、自分のためにするものであって、
自分の知らない世界との出会いを通して、できなかったことができるようになる喜びや、
知らなかったことを知って新しい自分になっていける
ワクワクを楽しむためにあると思います。
そのワクワクを見つけた人は、テストがなくても勉強を続けて、
最終的にはそれが趣味となったり、場合によっては、その知識や経験が社会のためにつながり、
仕事になったりするのだと思います。
特に、英語という教科は使ってなんぼの世界だと思います。
使えるようになるには、「継続」が必要です。
「継続」するためには、テストのための勉強ではなく、
自分がどう勉強すると、ワクワクして楽しんで続けられるのかを
自分が知っていることがとても大事だと思います。
『~をしたいからする』に勝る原動力はないと思うからです。
なので、小学校では、心から「楽しい!」と思える英語との出会いを
たくさん提供したいと考えています。楽しい事は、進んでできるからです。
この「楽しい!」には、大きく分けて、純粋に楽しい “fun” の要素と、知的好奇心をくすぐるような
“interesting” な2つの要素があると思います。
低学年は、単発のゲームや体をいっぱい動かすfunから始めて、ところどころにInterestingな活動を織り交ぜて、高学年では、interestingな活動中心にもっていけるように工夫しています。
でも、ただ授業を受けて終わりだけでは、なかなか、本題の「自分の学びに自分で責任を持つ」姿勢は育まれません。
そこで、数年前から始めたのが、” I Can Sheet” と私が呼んでいる、毎回の授業の「振り返り」をするプリントです。
↓これは実際、今子ども達が使っているものです。
このプリントは、公立小学校の英語の授業のビデオからヒントを得て、自分流に作り変えたのですが、
週2回という限られた時間だけに、子ども達には、なんとなーく時間を過ごすのではなく、
目的意識を持って過ごして欲しいという想いで作りました。
まず、一番最初の英語の授業の時に、日本語で、私から守って欲しいルールを伝えます。
次に、子ども達で自分達の授業のルールを話し合いで考えてもらい、それをプリントに記入します。
そして、最後に自分の今学期の目標を書きます。
こちらから一方的にルールをいっても、あまり伝わりませんが、
面白いことに自分達で決めたルールは、守ろうとします。(子ども達に考えさせた方が、ずっといいアイディアが出てくることもあります)
そして、毎回の授業では、その日の目標を私が発表し、それに対して自分はどの程度達成できたかを、授業の終わりに数字で自己評価し、そして、それ以外に頑張ったことや、できるようになったことなどを、短く書く時間をとっています。
はじめは、めんどくさがる子も中にはいますが、習慣になると、言われなくても、自分でさっさと書いています。
大事なのは、定期的に回収しチェックすることです。
私は月1で回収し、目を通し、時間があれば短くコメントを付けるし、なければスタンプを押して返しています。
このプリントのおかげで、どの子がどんなことに興味を持っているのか、
静かな子だけど実は熱い想い持っているんだとか、本当に色んなことに気づけています。
うまく発表できずに落ち込んでいる感想を書いている子がいたら、次の授業でもう一度発表できるチャンスを
つくってあげたり、さらに上を目指して質問してくる子に答えてあげたり、用途は色々です。
子ども達と毎日会える担任とは違って、週2回しか会えない私には、とても貴重な情報源となっています。
そして、これを繰り替えしていくうちに、子ども達は自分で自分の課題を見つけて、
それを達成する喜びを感じたり、失敗して悔しい気持ちになったりして、成長をしているように感じます。
いつの間にか、自分で自分の学びをコントロールする姿勢が育まれていると思います。
私は、これを担当の高学年に実施していますが、やり方を少し変えれば、どの学年でもできると思います。
例えば、3・4年生だったら、こんな感じにシンプルに色を塗って達成度を表すなど。
将来的には、小学生のうちに、「英語でこれができるようになった」と胸を張って言えるような、
子ども達にもわかりやすいような目標を設定していきたいと思っています。